「新生」エオルゼアの意味

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エオルゼア雑記
「新生」エオルゼアの意味

「新生」エオルゼアの意味

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FF14は2019年現在6年目?

FF14は、2018年8月27日にサービス開始から丸5年を迎えたということで、5周年を記念するイベントなどが各種開催されました。5周年に限らず、ゲーム内では毎年8~9月の時期に「新生祭」というイベントが開かれたりしています。

なるほど、ドラクエ10のサービス開始が2012年8月2日なので、FF14は約1年遅れて発売されたのね…と思ってしまいそうですが、ちょっとここでコピーライト表示を確認してみてください。

FF14のコピーライト

FF14のコピーライト

2010年からになっていますよね…?

これを書いている時点で、FF14の拡張パッケージは「紅蓮の解放者」が最新で、これはVer.4です。そのひとつ前は「蒼天のイシュガルド」で、これはVer.3でした。その前が、FF14をあまり知らない方でも耳にしたことがありそうなほど、一般的にも認知されているタイトル「新生エオルゼア」で、これがVer.2です。

あれ?Ver.1は…??

じつは「新生エオルゼア」の前に、隠された「Ver.1」が存在していたのです。そしてその「Ver.1」の内容については、今では一切プレイすることができません。この「Ver.1」を「旧FF14」とここでは呼びます。

わたしがFF14の世界へやってきたのは2016年の話なので、旧FF14は当然ながら全くプレイしたことがありません。だけど「FF14は2010年に発売されたものの、不具合などがあまりにも多く、しばらく月額課金が停止された挙句、ゲームそのものをまるっきり作り直して、2013年に再スタートされた」という、ウソみたいな本当の話は、それ以前にも小耳に挟んだことがありました。

今回はWikipediaなどの内容を参照しつつ、旧FF14から「新生エオルゼア」開発に至るまでの過程を簡単にまとめてみました。

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旧FF14はどんなゲーム?

旧FF14の動画を検索してみると、わりとたくさん見つかるのですが、たとえばこれですね。

※動画は配信元の都合により非公開化または削除されることがあります。

マップの切替がないんですね。どこまでも切れ目なく走っていける世界。いかにもオープンワールドって感じで、この映像だけを見ると、景色もかなりキレイですし、良さそうに思えます。だけど実際にはものすごく重かったみたいです。要求されるPCのスペックが、とてつもなく高そうなのは想像できますね。

それではバトルはどんな感じだったのか、探してみると…

※動画は配信元の都合により非公開化または削除されることがあります。

思ってた以上に完全なる別物でした!w

ウルダハの町で撮影されたものもありました。

※動画は配信元の都合により非公開化または削除されることがあります。

上の動画はPCのスペックが高いのか、あまり動作が重い印象はありませんが、こちらを観ると全体的にカクカクしているのがわかります。インターフェースなども今とは全く異なります。

ちなみに旧FF14はドラクエ10と同じく、スクエニ内製のゲームエンジン「Crystal Tools」で作られています。(もっともゲームごとに大掛かりなカスタマイズが施されているそうなので、旧FF14と現在ドラクエ10で使われているものとでは、かなりの違いがあると思います)

旧FF14は2010年9月30日に発売されましたが、発売当初からすでに問題が山積していたようで、すぐに無料期間延長の措置がとられ、年内には当時の和田社長が謝罪し、当面の無料化が発表されています。

この2010年当時は、わたしはDSでドラクエのリメイクをたまに遊ぶくらいしかゲームをしていなかったし、なにしろオンラインゲーム自体に対してとても否定的だった頃です。(そんな時期もあったのです!w)

なのでリアルタイムでは状況を知りませんが、スクエニが満を持して発売したはずの、長期運営を想定した看板タイトルがいきなりコケそうだという、会社が傾きかねないほどの危機だったことは想像に難くありません。

この未曾有の危機を救うべく、立ち上がったひとりの男がいます。

よしだああああああ!!!w

よしだああああああ!!!w

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吉田直樹さんとは?

旧FF14が発売されてわずか2ヵ月ちょっと、早くも12月10日には開発体制の大幅刷新が発表され、吉田直樹さんプロデューサー兼ディレクターという重責ポジションに就任します。

就任の時点では、吉田さんはそれまでのFFシリーズに、開発者として携わったことは一度もありません。今では多くのFF14プレイヤーから親しみをこめて「よしだああああああ!!!」と呼ばれる人ですが、この当時は、旧FF14のプレイヤーから見れば、「吉田?だれそれ?」みたいな感覚だったのではないでしょうか。

2010年8月から12月の「(株)スクウェア・エニックス・ホールディングス」の株価を見ると、9月からじわじわと下落を続け、12月の新体制発表後には一気に急落しているのがわかります。(※カブサポさんへの外部リンク)
(株)スクウェア・エニックス・ホールディングス【9684】の株価チャート

つまり、大幅刷新が発表された時、少なくとも市場では、ほとんどの人が吉田さんたちに何も期待していなかったのです。FF14は完全なる失敗作であり、資金回収もできないままフェードアウトする、そう受け止められていたのかもしれません。(もちろんFF14だけが要因で下げたとは限りませんが)

※ちなみにこの1,450円のとき、吉田さんを信じて1000株くらいを買った人がいたとして、2019年1月の今も株を持ち続けていれば、毎年の配当とは別に200万円くらいの含み益が出ていますw

吉田さんは、かつて存在したゲームメーカー・ハドソンの出身です。開発が中止されてしまったPC-FX版「天外魔境III」の仕事を皮切りに、「爆ボンバーマン2」のストーリーモードディレクターなどを務めた後、2005年に「ドラクエのオンラインゲームを作るから」という理由で、ドラクエ10の前プロデューサー・齊藤陽介さんに誘われたのが、スクエニ入社のきっかけだったといいます。

もともと吉田さんはオンラインゲームに造詣の深い人で、スクエニに入社後は「モンスターバトルロード」のディレクターを担当したり、ドラクエ10の開発が始まってからはチーフプランナーに就任。ドラクエ10のディレクターは藤澤仁さんでしたが、彼がドラクエ9開発のためプロジェクトを抜けていた1年半ほど、代理ディレクターを務めたりもしていました。

藤澤さんの復帰から間もなく、吉田さんは(FF14とは異なる)別のプロジェクトの立ち上げを会社から依頼され、ドラクエ10の開発からは発売3年ほど前にはすでに離脱。ただしドラクエ10のオープニングには、大きく吉田さんの名前がクレジットされています。ドラクエ10では、ゲーム内における経済やハウジング関連を主に担当され、種族「ウェディ」の名付け親でもあります。

つまりスクエニ入社から4年ほどは、ドラクエ関連の仕事が中心だったということになります。ドラクエシリーズとFFシリーズの両方でコアスタッフを経験したのは、おそらく吉田さんが最初でしょう。

ドラクエの経験で、堀井さんから受けた影響を、次のように語っています。

堀井雄二さんから言われたことがあるんです。私はゲーム好きで、使い込めば便利になるインターフェースを設計したりするのですが、堀井さんから「吉田くん、それが便利なのは分かる。でも使えないと一般の人には面白さは分からないんだよ」と指摘されたことでしょうか。新FF14でストーリーの流れをわかりやすくするため、イベントが起きるキャラクターの頭上に「!」のアイコンを付けたのも、見た目のわかりやすさを重視したからです。

そしてその後、紆余曲折の末、FF14を立て直すという社命を受け、この頓挫しかかった日本有数のタイトルと、真正面から向き合うことになるのです。

なんといっても旧FF14の運営を手直ししつつ継続しながら、全く新しいFF14を並行して一から作り上げ、さらにそのゲームサービスの移行を「第七霊災」というストーリーに絡めて実現してしまった点は、すごい!の一言です。つまり、メテオが落ちて(旧FF14の)世界が終焉を迎え、そしてその後エオルゼアは新たに生まれ変わった、つまり新生したというわけです。

今となってはその場に居合わせたかった思いすらありますw

さらに輪をかけてすごいのは、その「新生」したFF14が世界中の人々から好意的に受け入れられ、まだこれから何年も継続していけそうな見通しだということ。旧FF14で終わっていれば、サービス継続どころか、FFシリーズ最大の失敗作という烙印を押されても仕方がなかったかもしれません。今は全世界で1400万プレイヤーがこの世界を体験するという、かなり規模の大きいMMOの代表作にまでなっています。

もう「プロジェクトX」になってもおかしくないくらい劇的な出来事ですよね。
中島みゆきさんの歌声が頭の中で鳴り響きそうですw

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旧FF14の何が問題だったか?

FF14が無事に立ち直ったということを先に書いてしまいましたが、それでは旧FF14の何が問題だったのでしょうか。

これについては、参考になる講演記事がありますので、ちょっと引用します。

吉田氏は一例として、街に置かれるフラワーポット1つに、1,000ポリゴン、150ラインのシェーダーコードが使われていたことを明かし、「これはキャラクターと同じ処理負荷、PCの表示数を20人に制限するという判断が行なわれていた」と信じられないという雰囲気で語った。

先程掲載した旧FF14の動画を観ても、確かに映像は美しいですし、どこまでも広がる世界は魅力的です。

けれどもFF14はオンラインゲームであって、そこには想定を上回るプレイヤーキャラクターが押し寄せる可能性もあるのです。挙げられているのは極端な例だとしても、フラワーポットの表示を優先させて、プレイヤーキャラクターの表示数を20人に制限するという判断は、わたしのような素人から見ても「どうかしている」と感じます。

余談ですが、この話を読んで少し後に、FF15おにぎりとリヴァイアサンのデータ量が同じという話を聞いたときは、え?FF14の失敗は教訓にならなかったの?と驚愕しました。まあオンラインゲームとスタンドアローンでは全く違いますし、PS4のスペックも高いので、一概には言えませんけれども…

わたしはFF15は遊んでいないので、作品の良し悪しは全くわかりません。
遊んでいない理由?PS4がないのと、ララがいないからです←

さて、閑話休題

そういう問題点を徹底的に洗い出し、粘り強くひとつひとつを改善して作られた結果、新FF14は、旧FF14と比べれば若干グラフィック面で劣るとはいえ、ムービーなどを観ていても必要十分な美しさは保たれていますし、なにより操作が重い、キャラクターが表示されないといった問題点はほとんどなくなりました。さらに評判の悪かったインターフェースなども全面的に変更。FF14独自の「クロスホットバー」という操作方法や、「コンテンツファインダー」など、もはや偉大な発明だといえるでしょう。

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おわりに

旧FF14からの復活劇というドラマティックな実話は、とても興味深く、いつか書いてみたいと思っていました。もう新生をなし遂げてから5年以上経つので、当時のことを知らない人も多いと思いますし、なによりわたしも実際に当時を知っているわけではありません。いろいろなインタビュー記事などを読んで断片的に得た知識を、記事にまとめてみたかったのです。

過去にないほどの大失敗から、過去にないほどの大成功へという、180度大転換を奇跡的に実現させてしまったこのエピソードは、ゲーム開発だけでなく、あらゆる意味で示唆に富んでいると思います。

その立役者のひとりである吉田さんを、これからもリスペクトしつつ、よしだああああああ!!!と叫び続けていきたいですね!w

ちょっと出たがりな気もしますけどね!w

ちょっと出たがりな気もしますけどね!w

エオルゼア雑記

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