今から2年ほど前、「ドラクエ10 Ver.5以降は?」という記事を書きました。執筆時期としてはVer.4.5前期のリリース当日で、この記事を書いた時点では、まだVer.5に関する発表は何もなく、記事中でも「また時渡りするのでは」みたいな予想をしていますが、完全大ハズレだったのは皆様ご承知の通りw
一応「魔界」というキーワードを出してはいますが、これはバージョンを重ねるごとに、いろんな世界を舞台に冒険していくという点が「映画ドラえもん」みたいだね、という連想(春休み映画の第5作が「のび太の魔界大冒険」だったため)から来ているだけなので、具体的にVer.5の舞台が魔界だろうと予測したわけではありません。
今回の記事は、そのVer.5の物語もクライマックスとなるVer.5.5前期アップデートを翌週に控えている時期に執筆しています。
ドラクエ10「第1部」完結?
2年前の記事を書いた時点では明らかになっていなかったことですが、Ver.5の完結というのは非常に大きな意味をもちます。以前、安西ディレクターが「超ドラゴンクエストX 秋祭り2020」で発言した内容(後述)をふまえて考えると、ドラクエ10の開発初期段階から構想されていた物語の完結編に当たるからです。いわばドラクエ10の「第1部」が、このVer.5で完結するということです。
Ver.5.5は、ストーリーを前後期に分けて完結すると発表されていますので、実際に完結するのは少し先、おそらく6~7月頃のリリースになると思われますが、ドラクエ10は、サービス開始からちょうど9周年を迎える時期に、大きな区切りを迎えることになります。
Ver.1では、エテーネの村で暮らしていたわたしたち主人公が、冥王ネルゲルの襲撃を受けて死亡し、各種族への生き返しを受けることにより、本格的に冒険を開始します。そして冥王ネルゲルを討伐した後、封印されたレンダーシア大陸を解放して、勇者姫アンルシアとともに大魔王を討伐するというのが、大まかなVer.2のストーリーです。
Ver.2までは物語の上で繋がりも多く、冥王討伐後のストーリーは当初から構想があったことはよくわかりますが、続くVer.3では、隠された竜族の世界・ナドラガンドが舞台になります。わたしがVer.3の冒険を始めた当初は、実はあまりピンと来ない感じを受けていました。
Ver.2までは、「ストーリー原案」として初代ディレクターの藤澤仁さんがクレジットされているように、藤澤さん主導でストーリーの構築を進めていたのが、それを成田篤史さんに引き継いだので、少しカラーがそれまでと違うのかな?とも思ったのですが、実際にVer.3をクリアしてみると、なんてことはない、ふつうにそれまでのドラクエ10であり、Ver.1~2のお話ともきちんと繋がっていたことがわかりました。
なぜ当初そう感じたかというと、ナドラガンドへ旅立つまでの展開に、ちょっと取ってつけ感を受けたんですね。それまでの主要キャラクターが多数登場するのはいいとしても、もう二度と会えないと思っていた兄弟姉妹が現れたり、各地での展開も、なんだかお話が散逸しているような印象でした。あくまでVer.3.0時点の感想です。もしかすると意外性をもたせるため、わたしのようなミスリードを狙っていて、それにまんまと引っかかったのかもしれませんw
実情としては、ドラクエ11の開発に人員がとられてしまったことで、Ver.3.0のボリュームも当初の想定より縮小されてしまい(いわゆる「スカスカ問題」)、この先だいじょうぶかな?と一抹の不安も覚えざるを得なかったこともあります。今となって振り返れば、りっきーあの状況でよくやってくれた!なんですけどねw
続くVer.4ではついに時渡り、すなわちタイムスリップものとして物語が展開します。
正直に告白いたしますが、これが発表された当初は「冒険する舞台(ネタ)がなくなったから、ついに過去に行くのね」的な、非常に浅い考えが頭をよぎってしまったりもしましたが、実際には世界が史上最大の危機に陥り、滅びの未来を食い止めるとともに、主人公の出自という、ドラクエ10の根幹ともいうべき大きな謎が明かされる、思っていた以上に壮大な物語でした。
Ver.1~3に、いわばロト三部作(ドラクエ1~3)のようにストーリー上の繫がりをもたせ、Ver.4~は天空シリーズ(ドラクエ4~6)のように別展開になるのかな、というような想像もしていたのですが、Ver.4のストーリーも、前述のようにそれまでのストーリーと非常に強い繋がりを持っていたわけです。
そして2019年に発売されたVer.5ですが、今度は舞台が全くの異世界である「魔界」ということで、しかも主人公が血の契約により魔族になってしまうという流れから、さすがに今回はこれまでの物語とは別軸だろうと当初は考えていたのですが、これもまた別軸どころか、アストルティア創生にまで話が及び、ついに女神ルティアナ復活という、まさにドラクエ10の集大成的な物語展開を見せることになります。
このように、結果的に見ると、これまでとは少し違う展開かな?と各バージョン冒頭では思わせておきながら、Ver.1~5の物語は連綿と繋がっていたわけです。
しかしながら、この9年に及ぶ繫がりのあるストーリー展開も、Ver.5で一旦完結を迎えることは、実は昨年秋の時点で明らかになっています。
「ドラゴンクエストX 秋祭り2020」で、3代目ディレクターの安西崇さんは、「ドラクエ10には明確なラスボスは存在していますか?」という質問への回答として、次のように発言しています。
開発初期当時に、まず、最終的なラスボスとして据えられているのは、
「異界滅神ジャゴヌバ」です。
異界滅神ジャゴヌバ…この名前は、実はVer.3.5後期の時点で登場していました。
レベル上限解放クエストシリーズ「光導くがごとく」の最終話、Lv99解放の「正義の心 宿りし時に」で、聖光教主がその名を主人公に告げます。
ジャゴヌバという名前は「呪われし名」として避けられていましたが、一般には「大いなる闇の根源」と呼ばれ、Ver.5より前から何度も(真の姿ではなく)登場はしていました。Ver.1のラスボス・冥獣王ネルゲルを倒した後、主人公を追いかけてくるあの黒い手が、実はジャゴヌバ(の一部)だったわけです。
「異界滅神ジャゴヌバ」の名前がゲーム内で初めて語られたのは、2017年7月5日実装のクエスト内でした。その後、Ver.4期間中にジャゴヌバの名前が語られることは一切なく(「大いなる闇の根源」の名前は少し登場しますが)、ほとんどのプレイヤーが忘れた頃w、Ver.5ではジャゴヌバの名前が頻繁に登場するようになります。
一般的にMMORPGというものは、月額料金やアイテム課金を支払うプレイヤーが、安定的に利益を出せる人数以上いる限り、そのゲームメーカーが望めば、いつまででも運営を継続することは出来ます。とはいえ、いわゆる週刊少年誌の連載漫画のように、作者の意図に反してズルズルとお話を引き延ばしていくと、せっかく面白い作品だったものが、どんどん質が下がっていくという結果にもなりかねず、長く続いてきた物語であっても、どこかで一区切りをつける必要はあるでしょう。
先述の「ドラクエ10には明確なラスボスは存在していますか?」という、「秋祭り」におけるプレイヤー(オシリさん)からの質問も、そのあたりを心配したような内容で、「オンラインゲームなので終わりはないと思いますが、話には〆も必要かなとも思います」と続きます。
ジャゴヌバという存在を、Ver.5のシナリオを作る段階で突然思いついたわけではないことは、Ver.1からずっと「大いなる闇の根源」として登場してきたこと、Ver.3.5後期のクエストで名前が語られたことからも明らかで、開発当初から「Ver.1~5で物語を一区切り」ということは、常に考えられてきたのだろうと思われます。
前プロデューサーの齊藤陽介さんが、ドラクエ10発表の場で「10年は続けたい」という趣旨の発言をされていたので、それが曲解されて「10年で終わる」という根拠のない風説も一部でよく見られました。
この発言の真意については、後に現プロデューサーの青山公士さんが、先ほど安西さんが発言された「秋祭り」の同じ質問コーナーで、ドラクエ10の発表当時(2011年)には、まだオンラインゲームに対して否定的な意見が多く、その当時の「10年続けたい」は「永遠に続けたい」に近い意味合いだったという趣旨の説明をされていました。その部分を書き起こしてみます。(語尾などの一部はカットしています)
話は9年前まで遡るんですが、「ドラゴンクエスト10」の発表会、メディアを呼んでしたときにですね。私、発表会の一番後ろで見てたんですね。目の前に記者がいっぱいいるような状態ですね。「ドラゴンクエスト10」オンラインになります、と言った瞬間に、もうね、明らかに「ズコー!」って感じだったんですよ。今では考えられないんですけど、当時、ドラゴンクエストをオンラインにするってことは、相当否定的に捉えられていたんです。そんな中で、齊藤陽介前プロデューサーだと思うんですけど、10年やるって言ったのを、本当すごいことだなと思ってて、要はね、10年、当時だと、もうやった瞬間に失敗して終わるんじゃないかというような感じですよ。そんな中で10年やるって言ったのは、要は永遠にやる的な意味だと思うんですね。要は10年で終わらせるって意味じゃなくて、10年は続けたい、もっともっと続けたいというところで話したと思うし、私としてもそう思ってるので、10年と言わず、どんどん長く続けていきたいと思っています。
これはまさにその通りだと思います。当時のドラクエオンライン化が発表されたときの風当たりの強さはわたしも覚えていますし、実際にスクエニの株価が下がったりもしました。以前も書いたことがありますが、そもそもわたし自身がオンライン反対派の急先鋒でしたからwww
そんな状況下での「10年続けたい」という発言は、並々ならぬ覚悟を感じます。
そのことに加えて、1バージョンの期間を2年として計算すれば、Ver.5ではちょうど10年になるわけで、「少なくとも、Ver.1~5のストーリーを完結させるまではやりたい」という気持ちも含められていたのではないかなと、わたしは思ったりもします。
そのように考えれば、ドラクエ10の運営さんは、短中期的なバトルなどの調整、追加コンテンツの投入などは挟みつつも、ストーリーの展開に関しては、9年近くという長期にわたって、しっかり大枠のスケジュールを設計した上で続けてこられたのかなと。そうであれば、様々なアクシデントを乗り越えて、きちんと10年以内で予定通り完結させるというのは見事なことだと思います。当初から5バージョンを10年でという構想があったなら、という推測の話ではありますがw
Ver.6は「第2部」のスタート?
先ほどの「秋祭り」で、開発当初からの最終的なラスボスがジャゴヌバだと語った安西さんは、そのラスボスを倒した後の話を「もう作り始めています」と明言しました。あわてて青山さんに「正式じゃないですよ!」と止められはしましたが、まあそこはお約束といいますかww
すでに続きの物語を作っているということは、まあ当然というか、わたしはわかっていましたし、この安西さんの話を聞いてそう感じた方も多いと思います。「正式じゃない」というのは「内容やタイトルを公表できる段階ではない」だけのことであって、2020年秋の段階でまだ作っていなければ、Ver.5.5が完結してから半年やそこらで発売できるわけがありませんからねw
2020年秋の時点では、一部でその「続き」自体があるのかどうか、という疑問すら一部で語られたりしていました。先ほどの「10年続けたい」を「10年でサービス終了」だと信じて疑わない人たちは(今でも)いますので、そういう風説を打ち消す意味でも「ちゃんと続きを作ってますよ」というメッセージを出したのだと思われます。
それでその「続き」なんですが……
今年の2月、Twitterなどで気になる情報が駆け巡りました。
PS4でドラクエ10の動画をYouTubeに共有したところ、「ドラゴンクエストX 天星の英雄たち」というタイトルが表示されたというのです。
スクエニから正式に発表されたわけではないので、本当にVer.6のタイトルかどうかはわかりませんが、すごくそれらしいタイトルであることは間違いありません。本来はまだ表に出してはいけないけれど、スクエニからソニーには伝えられていた新作タイトルの情報が、何かの手違いで配信タイトルとして出てしまったのではないか?という説があり、わたしもそのへんが有力なのかなぁとは思っています。
どうして「それらしいタイトル」なのかというと、ドラクエ9のタイトルが「星空の守り人」だからです。
ドラクエ10の物語は、ドラクエ9の物語の続編だと言われています。とはいえ、これまでドラクエ9とドラクエ10では、ゲーム的に共通する要素や、「神話篇」の内容、クリスマスの季節イベント等、ごく一部で繋がりはあったものの、ストーリー上での明確な繋がりが描かれることは一切ありませんでした。
今回表に出てしまったタイトルの「天星」という響きは、ドラクエ9の舞台でもある天使界にも通じますし、なんといっても星空の守り人ですから、どうしてもドラクエ9との繋がりを感じずにはいられないのです。
一部では「天星」と「転生」と掛けているのでは?という説も囁かれています。さすがにVer.5.5でLv118が解放されて、そこまで育て上げた主人公のステータスを「一度リセットしますね!」というのは暴動が起きかねないので、そこまではしないとは思っていますが、強さがまるで「ドラゴンボール」の世界のようにインフレしているのは確かなので、何らかの形で「転生」の要素が入る可能性はゼロではないのかもしれません。
意図せずタイトルが表に出てしまったのであれば、発売までに正式タイトルを変更する可能性もありますし、本当にVer.6のタイトルがこれになるのかどうかは、現時点では全くわかりません。
いずれにせよ、ジャゴヌバを倒し、アストルティアと魔界の平和を守った後の主人公(Ver.5.4時点では本当に倒せるの?というような状況にありますがw)は、開発開始当初には存在していなかった構想の全く新しい世界を旅することになります。
Ver.5までのドラクエ10を「第1部」とするなら、Ver.6以降は「第2部」の始まりになるのかなと、ちょっとワクワクした気持ちで、新情報の発表を待ち続けています♪
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